重なりあう色
「アフガニスタンの農産物の集積地」と呼ばれるこの地域は、農業が盛んです。野菜・果物など農産物が種類豊富に育てられ、豊富にある分売ることに向かない規格外や廃棄対象もたくさんあります。Ghazninの染色は、この廃棄対象の農産物が生かされています。
「身近にある素材を暮らしの道具に活かす」という考えに根付いて生まれた染色方法で、長い時間をかけて継承され続けてきました
身近に手に入るこれら農産物で色を染めますが、脂分が多いため均一には染まりません。その脂分も個体差があるので同じ染料を使っても必ず色むらができます。「いつも同じ色が染められると限らない・染まり方も均一ではない」ということから、絨毯のデザインは、染色で生まれた糸の色と量から導き出されたものを織っていきます。
その時その時、自然に添って出来上がる唯一無二の一枚が大きな魅力です。アフガニスタンという国に簡単に立ち入ることはできませんが、こうして絨毯を介して国と国がつながることで、アフガニスタンという国に触れることができるのです。
ドイツ生まれの化学染料を使用することもあります。ドイツは世界の中でもトップクラスで人体や環境に配慮した染料を作っており、1990年代には毒性のある「アゾ染料」の使用禁止を世界に先駆けて禁止した国。
植物・農産物生まれの染料だけでなく安全な化学染料も使用しています。
心を満たす艶
仕上げの段階で水素を使って「絹のような光沢を与える」シルキー加工が加えられます。
これにより、発色が良くなったり強度が増すなど、艶だけではない効果が付加されることもあります。
Ghaznin 4つのデザイン
「文明の十字路」と呼ばれるアフガニスタン。 デザインが豊富なことも特徴のひとつです。 さまざまな文化が絨毯の図案として育まれてきました。Ghazninはデザインの種類が幅広く大きく4つに分けています。
イスラム教でアラベスク⽂様の⾼貴なデザインとして広く使われています。蔦が切れ⽬なく広がっていくところから永遠の命=不⽼⻑寿。最上級の美しい世界を表しています。
鏡を意味する「アイナ」と現地で呼ばれるデザイン(へシティ:Bakhtiar/イラン) 。もともとイスラム教徒の間では眼差しや視線に宿る⼒(邪視)を信じており、災いをもたらすとされてきました。鏡は魔除けの意味をもっています。
護り神・成⻑を願う⽣命讃歌・⻑寿・⼦孫繁栄など神聖な意味をもつ。
左右対称のデザインが多く、枝が左右に広がり幹が⼤地に根をしっかりとおろし天へと伸びていく⽣命⼒が表現されている。
⻄アジアで多く⾒られるイスラム紋様に込められた様々な願いや祈りが込められたデザイン。イスラム装飾の特徴である紋様の反復性があり、⼀定の様式性があります。